《HTMLの概要》

《タグの属性》
タグには属性と呼ばれるオプションがあります。
属性は、明示的に設定された値がなくても、デフォルトの値が設定されています。属性は常に要素の開始タグの中で使用します。属性が複数ある場合は各組を空白で区切り、出現順序は問われません。

次の例では、H1要素にID属性を設定しています。

これはid属性によって識別された見出し

属性値は上記のように、ダブルクォーテーション( " )、もしくはシングルクォーテーション( ' )といった引用符で囲みます。ただし、属性値が、アルファベット(a-z and A-Z)、数字(0-9)、ハイフン(ASCII十進45)、ピリオド(ASCII十進46)、アンダースコア(ASCII十進95)、及びコロン(ASCII十進58)のみを含む場合は、推奨されませんが、引用符を省略することができます。

《要素名と属性名》
HTMLでは大文字・小文字の区別をしませんが、要素名はのように大文字、属性は href="..." のように小文字で表記することが推奨されています。また、属性値も大文字・小文字で区別されません。

廃止される予定の属性
HTMLはバージョンアップする毎に表現能力をアップさせてきましたが、そのために様々な弊害が出てきました。そこで、HTML 4 でスタイルシート言語が導入されました。これまでHTMLで表現してきた配置、フォントサイズ、テキスト色などの指定はスタイルシート言語を使って指定することが推奨され、その代わり今まで使われていた要素や属性のいくつかは廃止される予定になっています。

改行は手動で行うもの
多くのワープロのドキュメントと違い、HTMLでは改行を無視します。また、複数の半角スペースは1つの半角スペースとして表現されます。
たとえば、下記のようなHTMLドキュメントを作成した場合です。

エディタで表示


Enterキーを押して改行。
どうだろう、ブラウザで改行されたかな?

ブラウザで表示
Enterキー

たかな?

ブラウザで表示
Enterキーを押して改行。 どうだろう、ブラウザで改行されたかな?
最初の例には文章の間に改行コードが入っていますが、ブラウザはこの改行コードを無視してしまいます。ブラウザに改行を指示するためには
タグを使う必要があります。



Enterキーを押して改行。

どうだろう、ブラウザで改行されたかな?

今度は次のように改行されます。
Enterキーを押して改行。
どうだろう、ブラウザで改行されたかな?

URIの概要
ウェブで利用できる資源、HTML文書、画像、ビデオクリップ、プログラム等はすべて住所を持っていて、この住所はURI(Universal Resource Identifier)と呼ばれる符号化形式で表されます。 URIの構成は次の例が基本です。 プロトコル://サーバーネーム.ドメイン/
例: http://www.rfs.jp/ 上記のURIは、「HTTPプロトコルを用いて利用できる文書が、 www.rfs.jp というコンピュータに存在し、 / というパスでアクセスできる。」という意味を持っています。場合によっては上記に続いて、サブディレクトリやファイル名が続いたりします。HTTPプロトコル(Hypertext Transfer Protocol)というのは、データをやり取りする規格で、これに続くファイルは、ウェブサーバ用のファイルであることを示しています。 プロトコルについては、HTTP以外にも、メール用の mailto やFTPの ftp などがあります。 ※一般には「URL(Uniform Resouce Locator)」という単語のほうが有名ですが、URIはそのURLの上位に位置するものです。
※「http://www.rfs.jp/」は、ファイル名を省略したアドレスです。サーバの設定により、ファイル名を省略した場合に使われるファイル名というのがあります。一般に多く使われるデフォルトのファイル名はindex.htmlで、その場合、「http://www.rfs.jp/」と「http://www.rfs.jp/index.html」は同じファイルを指定していることになります。 このアドレスは、ハイパーリンクで利用されます。
smartホームページ
表示結果は下記のとおりで、クリックするとタグで指定したアドレスのドキュメントが表示されます。 smartホームページ

相対URI
相対URIは、ページが置いてある場所を基準にして、リンク先のURIを指定するものです。例えば、http://www.rfs.jp/sb/html/index.htmlというURIのページから、http://www.rfs.jp/sb/html/01/01.htmlというページに相対RUIのリンクを貼る場合は、下記のようになります。
smartホームページ
上の階層にあるページ、たとえば、http://www.rfs.jp/sb/html/index.html というURIのページから、http://www.rfs.jp/index.html というページに相対RUIのリンクを貼る場合は、下記のようになります。
smartホームページ

詳しくはハイパーリンクの章を参照。



タグのネスティング
タグでタグを挟んだ状態をネスティングといいます。下記の例は、段落を示すPタグで、見出しを示すH1タグをネスティングしています。


Welcom to My Home Page!!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

上記の構造は、Pタグで示した段落要素の中に、H1タグで示した見出しが入っています。 ネスティングを用いるときには終了タグの位置に注意してください。鏡に映したように、囲むタグの両外側の位置が一致するようにします。
ブロックレベル要素とインライン要素
HTMLを構成する要素は、ネスティングできるレベルで大別し、ブロックレベル要素とインライン要素に分類できます。 簡単に説明すると、ブロックレベル要素は直接BODY要素内に配置できるもので、インライン要素はもちろん、ブロック要素をネスティングすることもできます。インライン要素はブロックレベル要素にネスティングされるもので、ブロックレベル要素を逆にネスティングすることはできません。
ブロックレベル要素
他のブロックレベル要素やインライン要素を含むことができます。一般的には、改行されてから表示されます。
インライン要素
データや他のインライン要素を含むことができます。一般的には、表示の際に改行を伴いません。

コメントタグ:

HTMLは文書中にコメントと呼ばれる要素を置くことができ、ブラウザはコメント部分を無視し表示しません。HTMLではそのコメントを記述するために、各行でコメントを で囲みます。コメント中に複数のハイフン( - )を含むことは避けたほうがよいそうです。

コメントには、HTMLファイルの著作権の表示や、ファイルの注意点を記述するために使われます。なお、ブラウザによっては、コメント内にHTMLタグを記述することもできます。コメントの中にタグが書けるというよりは、今書いているHTML文書をコメントにしておきたい場合、コメントタグを使うことによってHTMLタグを無効にできます。

エスケープ文字
タグの表記で使用する<>などは、文章中で使いたい場合などがあります。そのような際は、特別に用意された文字列(エスケープ文字)で参照することができます。よく使う例には、次のものがあります。
エスケープ文字 記号
< <
> >
" "
& &

ホームページ製作はHTMLで ※HTML4.0の基本

《HTMLの概要》
ウェブ上で公開されているホームページのほとんどは、『HTML』(ハイパー・テキスト・マークアップ・ランゲージ)と呼ばれる言語で記述されています。HTMLは文書の構造や見栄えを決定するための言語で、テキストはもちろん、画像・音声・動画を表示させることができます。特徴的なのは、ハイパーリンクという機能です。ドキュメントの中に埋め込まれたハイパーリンクをクリックすると、関連付けられた他の文書や画像などが表示され、次々に必要な情報を取得していくことができます。 HTMLは仕様がシンプルなため覚えるのが容易で、テキストエディタだけで製作することができます。 テキストエディタはテキストを編集するためのソフトウエアで、ウインドウズではメモ帳、マッキントッシュではSimpleTextといったソフトが標準で付属されています。HTMLドキュメントを製作し終えた後の確認は、Internet ExplorerFireFoxなどのウェブブラウザを使って行うことができます。現在では、HTMLの知識がなくても編集できるソフトウエアが数多く出回っており、誰でも簡単にHTMLドキュメントを作ることができます。 『HTMLの歴史』 事の起こりは1990年、スイスのジュネーブにある『CERN』という組織が、インターネット上でハイパーテキストを利用できるように、『HTTP』プロトコルを作ったことに始まります。HTTPはハイパーテキストを利用するための、全世界共通の約束事です。
そしてこの新しいプロトコルに対応したマークアップ言語として『SGML』という言語規約が策定されました。このSGMLに従って作成された文章は、コンピュータの機種が異なっても情報の共有が可能になります。
このSGMLをベースにして、SGMLよりもずっと簡単にハイパーテキストベースのファイルを作成できる言語としてHTMLが開発されました。

【用語】

《HTML》
ハイパー・テキスト・マークアップ・ランゲージ(-HyperText Markup Language)の略。
ウェブ用のドキュメントを記述するためのマークアップ言語。文字の飾りやレイアウト、さらに画像や音声などを埋め込むこともできる。

CERN
Centre Europeen pour la Recherche Nucleaire: 欧州素粒子物理学研究所

《HTTP》
HyperText Transfer Protocol: サーバとクライアントとの間でデータをやりとりるための伝送機構
SGML(Standard Generalized Markup Language.)
スタイルシートを記述するための最良のプログラミング言語です。

《WWW》(World Wide Web)
WWWは、最近最も関心をもたれているインターネットのサービスです。これは、テキストはもちろん、静止画像・音声・動画を同時に取り扱えるサービスです。関心のある文字や絵をクリックすることにより、様々なネットワーク上のWEBサーバから、目的の情報を持ってくることが出来ます。
スピードHTML体験
HTMLの主な機能は文章を表示させたり、レイアウトすることにありますが、それ以外にも、テキストボックスやセレクトメニューといった入力フォームなどを簡単に作ることができます。HTMLは、ユーザが操作するブラウザ表示画面のインタフェースを決め、入力を受け付ける役割までを担っているということですね。
それでは、簡単なHTMLファイルを作って、ブラウザに表示させるまでの過程を体験してみましょう。 いちばん簡単なHTMLファイルは驚くほど簡単です。
HTMドキュメント その1


HTMLの世界へようこそ!

上記のように、HTMLなどのプログラム言語で記述したデータをソースコード(source code)と呼びます。通常はそのソースコードが記述されたファイルのことをソースファイル呼びますが、HTMLの場合は単純にHTMLファイルでもよいでしょう。 それでは、上記の「HTMドキュメントその1」を、テキストエディタで編集し、ブラウザに表示させてみましょう。手順は下記のとおりです。
手順:ホームページをブラウザに表示させるまでの作業
任意のフォルダに、「index.html」という名前のテキストファイルを作成します。
ファイルをテキストエディタで開き、「HTMドキュメント その1」の内容を記述します。
ファイルを保存して閉じます。
コンピュータで扱うファイルには、テキストファイルや画像ファイル、ムービーファイルなど多数の種類がありますが、それらは拡張子によって識別できるようになっています。ファイル名のうち、ピリオド(.)で区切られた一番右側の部分が拡張子で、.txt ならテキストファイル、.exe なら実行ファイル、.pngなら画像ファイルになります。
HTML形式のファイルの拡張子は「.html」が一般的です。通常、この拡張子のファイルはブラウザに関連付けられているので、ダブルクリックすればブラウザが起動し、翻訳された文書が表示されるはずです。それでは、上記の手順で製作したファイルをダブルクリックするか、ブラウザにドラッグしてみましょう。
結果は、次のように表示されます。
HTMLの世界へようこそ!
インタフェース
情報の表示様式や、データ入力方式を規定する、コンピュータシステムの「操作感」。

HTMLの基礎知識
タグの概要
HTMLでは文書を構成するパーツを要素と呼び、要素を組み合わせて1つのページを完成させます。その要素は、タグと呼ばれる目印によって明示的にされます。タグは、もともと付けフダとか付箋という意味で、ブラウザ中でそのテキストがどのように表示されるかを定義する、マークの役割をするものです。
開始タグと終了タグ
タグは三角カッコ(< >)でくくられていて、...のように2個でワンセットになっています。これをここでは便宜上、前に置くタグを開始タグ、後ろに置くタグを終了タグと呼ぶことにします。タグはこの開始タグと終了タグの間にテキストや画像などの要素を挟んで、1つの要素を表現します。
たとえば、ひとつの段落を表現するために、Pタグを使って次のように記述できます。

Hello HTML4.01 World.

上記全体が段落を示すP要素になる部分で、

が開始タグ、

が終了タグです。 終了タグは、上記のように、開始タグにスラッシュ(/)を加えた表記です。例えば、開始タグの

は段落が始まることを指示するもので、

は、段落が終わったことを指示します。終了タグがないと、前タグの定義がファイルの終わりまで影響するので、注意が必要です。
※開始タグ、終了タグのセットには例外があって、間に挟む要素がなく、開始タグのみでできているタグもあります。

『5年後に必要な技術』予測結果(プログラム言語分野)

WGメンバー意見
? C#は、5つのプログラミング言語の中で利用実績は低いが、増加率は最も大きい。今後も利用の増加が期待される技術? Javaは利用実績が高く、大きく変更することなく安定的に推移。JythonScalaなどの「Java代替言語」が登場しているが、当面はJava優位が予想される。
? VisualBasic(VB6や.NETを含む)とC/C++は長期視点では減少傾向。ただし、両者とも 2011年ごろから2013年にかけて増加傾向を示すなど、一定の企業ニーズはある模様。
? Javaと.NETのフレームワーク比較(次頁参照)では、10年間の評価では将来.NETフレームワークがJavaに勝ると推測される。しかしながら、2009年から 2014年の5年間で見ると拮抗、増減を繰り返しており、現時点で優劣の評価は難しい。
? クラウド(前頁参照)の成長ぶりを見ると PaaSとしての完成度がプログラム言語の今後の成長性を左右するかもしれない。

5年後も必要な情報技術(プログラム言語分野)
Java
C#

COBOL
Java
Visual Basic
C / C++
C#
0.000
0.100
0.200
0.300
0.400
0.500
0.600
0.700
0.800
0.900
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年

プログラム言語
J. COBOL J. Java J. VisualBasic J. C/C++ J. C#
対数 (J. COBOL) 対数 (J. Java) 対数 (J. VisualBasic) 対数 (J. C/C++) 対数 (J. C#)
JEE
.NET Framework
0.000
0.100
0.200
0.300
0.400
0.500
0.600
0.700
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
プログラム言語(フレームワーク)
K. Java EE K. .NET Framework 対数 (K. Java EE) 対数 (K. .NET Framework)


WGメンバー意見
? ITサービスのクラウドが進み、データの保護という観点からもセキュリティ技術分野全体が今後も成長し続けていく事になるだろう。
? ただしセキュリティ分野については、脅威への対応が必須で、その脅威と影響は大きくなりつつあり。要素技術で見た場合に、次々と新しく生まれる技術があり、ライフサイクルの進行が早いため、何が「消えない」かの見極めは難しそうだ。
? 「侵入監視ツール」の減少傾向は、IPS(侵入防止システム)などの代替技術での置き換え等が進んでいる可能性が高く、より迅速なセキュリティ対応が必要になってくるだろう。
? 「ウイルス対策ソフト」は「消えない」というよりは「必須」なので導入している。
技術としては確実に「消えない」だろうが、技術者視点で頼りにしたいという意味での「消えない技術」にできる人は僅少なのではないか。
? 2014年で全体的に実績が落ちている原因は不明。

5年後も必要な情報技術(セキュリティ分野)
シングル・サインオン
フィルタリング
情報漏洩防止ツール
侵入監視ツール
シングルサインオン
フィルタリング
情報漏洩防止ツール
ウイルス対策ソフト
0.000
0.100
0.200
0.300
0.400
0.500
0.600
0.700
0.800
0.900
1.000
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
セキュリティ
I. 侵入監視ツール I. シングル・サインオン I. フィルタリング I. 情報漏洩防止ツール
I. ウィルス対策ソフト 対数 (I. 侵入監視ツール) 対数 (I. シングル・サインオン) 対数 (I. フィルタリング)
対数 (I. 情報漏洩防止ツール) 対数 (I. ウィルス対策ソフト)
12

WGメンバー意見
? ウォーターフォール開発はごく一般的な開発技術であるため2011年度からの観測となっている点を疑問に思われるかもしれないが、こうした要素技術は実績が高止まりして変化が少ないため意図的に観測対象としていなかった。ただし近年になりアジャイル開発/反復型開発への注目の高まりが特に感じられるようになったため、その対比として途中から観測を開始している。
? アジャイル開発/反復型開発は 2004年から成長が続いているものの、ウォーターフォール開発の実績の多さを脅かすには至っていない。
? テスト支援/自動化ツールはメディア関連で積極的に取り上げられているが、今後の伸び率が低いと目される。この点が予想通りとなるか注視を続けたい。

5年後も必要な情報技術(開発技術分野)
テスト支援/自動化ツール
アジャイル開発/反復型開発

L. ウォーターフォール開発
テスト支援/自動化ツール
アジャイル開発・反復型開発
0.000
0.100
0.200
0.300
0.400
0.500
0.600
0.700
0.800
0.900
1.000
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
開発技術
K. テスト支援/自動化ツール L. アジャイル開発/反復型開発 L. ウォーターフォール開発
対数 (K. テスト支援/自動化ツール) 対数 (L. アジャイル開発/反復型開発)
13

WGメンバー意見
? いずれも今後の成長を期待させられるグラフとなっている。開発管理の分野は個々に上げた要素技術に限らず全体として今後も注目され成長するのではないか。
? CMM/CMMIは 2009年から 2012年にかけて減少し谷を形作っているがその後回復し2013年に実績が最大となっている。2014年はやや減少したが以前と比較すれば高水準を保っている。今後も成長が続くのではないか。
? OSやプログラム言語などの要素技術と違って「消えない」というよりもこれらは「できて当たり前」に近いのではないか。そこまでコモディティ化してしまうと、技術者としてこれらを差別化ポイントとするためには多くの努力が必要になりそうだ。

5年後も必要な情報技術(開発管理分野)
プロジェクトマネジメント手法
ITIL / ITSMS
CMM / CMMI
ISMS
プロジェクトマネジメント手法
ITIL / ITSMS
CMM/CMMI
ISMS
0.000
0.100
0.200
0.300
0.400
0.500
0.600
0.700
0.800
0.900
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
開発管理
L. プロジェクトマネジメント手法 N. ITIL / ITSMS N. CMM / CMMI
N. ISMS 対数 (L. プロジェクトマネジメント手法) 対数 (N. ITIL / ITSMS )
対数 (N. CMM / CMMI) 対数 (N. ISMS)
14

WGメンバー意見
? スマートフォンの伸びが目立つ。2013年に業務端末・公衆端末を追い越しているがそれまでは強い右肩上がりとまでは行かない状況であった。最近ではスマートフォンが接客に用いられるなど様々な場面で利用されており業務端末の置き換え用途が拡大しているかもしれない。
? タブレットは 2011年からの観測であるがスマートフォン同様の結果となっている。観測期間が短いことから将来予想はしていない。
? 業務端末の実績は多い。過去からの技術の蓄積があることを考えると IoTなどの刺激により巻き返しが見られるかもしれない。街中でデジタルサイネージなどを見かける場面も増えてきた。
? (注)ノート型などの PCはアンケートでほぼ全員が実績ありとして回答し変動も少ないので調査していない。

5年後も必要な情報技術(クライアント分野)
スマートフォン

H. タブレット(スレート端末)
業務端末・公衆端末
スマートフォン
0.000
0.050
0.100
0.150
0.200
0.250
0.300
0.350
0.400
0.450
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
クライアント
H. スマートフォン H. タブレット(スレート端末) H. 業務端末/公衆端末 対数 (H. スマートフォン) 対数 (H. 業務端末/公衆端末)
15

■免責事項
1.本レポートは、公開の中断あるいは中止を含め、予告なく変更されることがあります。
また、取り出された情報が最新の情報でない可能性があります。本内容に関する保証(情報の正確さ、有用さ、確実さ等について)は一切致しませんので、あらかじめご承知おきください。
2.当協会では、「本レポートに掲載されている情報」または「本レポートに掲載されている情報を使用したことにより生じるいかなる損害」についても責任を負いかねます。

本調査で使用しているデータは「情報技術マップ調査報告書」に掲載しています。「情報技術マップ調査報告書」は、JISA 会員:3,000 円 、JISA 会員外:6,000 円にて発売しております。会員企業には調査時に 1部ずつ配布済みです。

『5年後も必要な情報技術』 JISA技術強化委員会

■はじめに
『5年後も必要な情報技術』は JISA技術強化委員会の活動「情報技術マップ調査の活動が10年目を迎えた節目として情報技術マップワーキンググループ(以下、WG)が作成したものです。
2020年には、ビジネスがデジタルすることで、必要とされるIT技術も大きく変化することが推測されます。そこで、WGでは「情報技術マップ調査」活動の中で情報技術の採用実績を毎年アンケート調査しており、過去 10年間分の調査データを利用して「5年後も必要な技術」を予想しました。

情報技術マップ調査では過去10年間に通算620社、2万5千人のご協力をいただきました。この場を借りてお礼申し上げます。また、会員企業におかれましては別途 2015年度の情報技術マップ調査への回答協力を依頼させていただいております。回答期間は2016年1月29日までとなっておりますので本年も何卒ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
2015年度の報告書の発行予定時期は 2016年 5月頃を予定しております。

■「情報技術マップ調査」について
情報技術マップ調査はシステムインテグレーション(SI)に用いられる要素技術が普及から衰退までのライフサイクルを辿るという前提に立ち、各要素技術が今どのようなステージにあるかを可視化することを活動内容としています。情報技術マップにより技術者各個人、SI 企業、ユーザ企業のそれぞれが技術動向を把握することが可能となり、今後の成長戦略を検討する際に活用されること等を期待しています。
アンケート調査では JISA会員である国内情報サービス産業に携わる企業(会員企業数は2015年時点で520社)の IT技術者を調査対象として、メインフレーム、サーバ仮想化技術、スマートフォンやC言語などの 120超の要素技術について、業務での採用実績や、今後の着手意向といった取り組み状況を聞いています。その結果は要素技術ごとに「ライフサイクルマップ」として研究期、普及期、安定期、衰退期の4段階に分類しています。

2004
2005
2006
2007
2008
2009
2011
2012
2013
2014
年度
研究期 普及期 安定期(仮) 衰退期

要素技術名
サーバ仮想化技術

【図:ライフサイクルマップの例】

A. ホスト・サーバ・ストレージ
B. OS・サーバソフト
C. システム連携とミドルウェア
E. コンテンツ・ナレッジ管理
およびコラボレーション技術
F. データベース関連技術
G. ネットワーク技術およびアプリケーション
I. セキュリティ関連技術
J. 開発言語
H. クライアント端末関連技術
K. 開発環境・ 開発ツール
L. 開発手法・ 開発プロセス
M. 運用管理
N. IT ガバナンス・マネージメント
JISA版ITディレクトリの全体構造
D.クラウドコンピューヒング

【図:情報技術マップの調査分野】

3

■「5年後も必要な情報技術」の選定方法
情報技術マップ調査では「この技術の利用実績がある」と回答された割合を「SI実績指数」として集計しています。今回は2004年から2014年までの10回分(2010年は欠測)のSI実績指数を元に 2020年までの予測グラフ(対数近似)を作成しました。この技術分野ごとの予測グラフを元にWGメンバーで近年の技術動向を踏まえたディスカッションを行い「5年後も必要な情報技術」を選定しております。
なお、情報技術マップ調査では世の中の技術動向に応じてアンケート対象の要素技術の入れ替えを行っているため調査期間が数年程度しかない要素技術も少なくありません。そのため今回の予想ではほぼ10年間継続して調査対象となっている要素技術に絞り分析を行っています。

今回の調査対象
技術分野 要素技術
1)基盤技術 メインフレーム
IAサーバ
Unixサーバ
サーバ仮想化技術
(参考)クラウド SaaS
PaaS
HaaS・IaaS
2)サーバ OS Windows系サーバ OS
Unixサーバ OS
Linux等オープンソースのサーバOS
メインフレーム用OS
3)ミドルウェア 商用Webアプリケーションサーバ
オープンソースアプリケーションサーバ
商用 DBMS
オープンソース DBMS
BI
4

技術分野 要素技術
4)プログラム言語
COBOL
Java
VisualBasic
C/C++
C#
プログラム言語
(フレームワーク)
Java EE
.NET Framework
5)セキュリティ 侵入監視ツール
シングル・サインオン
フィルタリング
情報漏洩防止ツール
ウイルス対策ソフト
6)開発技術 テスト支援/自動化ツール
アジャイル開発/反復型開発
ウォーターフォール開発
7)開発管理 プロジェクトマネジメント手法
ITIL/ITSMS
CMM/CMMI
ISMS
8)クライアント スマートフォン
業務端末/公衆端末
(参考)タブレット
5

WGメンバー意見
? サーバ仮想化技術は当面は必要とされるだろう。
? サーバハードウェアは 3種とも伸びが小さい
? IAはクラウド(次頁参照)への移行が進みそうだ。
? 仮想化技術に目が行きがちだが、IAの急な減り方と比較した場合にメインフレームやUNIXは安定している。今後も現状維持が続くのではないか。

5年後も必要な情報技術(サーバ分野)
サーバ仮想化技術

メインフレーム
IAサーバ
Unixサーバ
サーバ仮想化技術
0.000
0.100
0.200
0.300
0.400
0.500
0.600
0.700
0.800
0.900
1.000
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
サーバ
A. メインフレーム A. IAサーバ A. Unixサーバ B. サーバ仮想化技術
対数 (A. メインフレーム) 対数 (A. IAサーバ) 対数 (A. Unixサーバ) 対数 (B. サーバ仮想化技術)
6

? クラウド技術は、各メーカーが利用別(目的別)のソリューションも提供してきており、資産を持たない方向性の企業にとっては不可欠な要素となることから、確実に拡大してゆくことが想定される。
? 観測期間が 10年に達していないため参考として扱うが、2020年も「必要とされる」技術となるだろう。

SaaS
y = -0.008ln(x) + 0.4013
PaaS
y = 0.145ln(x) - 0.1452
HaaS・IaaS
y = -0.037ln(x) + 0.9298
0.000
0.100
0.200
0.300
0.400
0.500
0.600
0.700
0.800
0.900
1.000
2004年 2005年 2006年 2007年 2008年 2009年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
クラウド(参考)
D. SaaS D.PaaS D.HaaS・IaaS 対数 (D. SaaS) 対数 (D.PaaS) 対数 (D.HaaS・IaaS)
7

WGメンバー意見
? Linux等オープンソースのサーバ OSは一貫して成長している。実績ではUnixサーバOSを追い抜きWindowsサーバOSを追っている。
? 商用のサーバOSはいずれも今後伸び悩みそうに見える。
? オンプレミスのサーバは徐々にクラウドへの置き換えが進むのではないか?クラウドでも実行環境やミドルウェアのチューニングの余地は残ると思われるがOS自体を触れる機会は減るのではないか。
? ただしクラウド化できない一定数のサーバOSは残り続けるだろう。サーバOSを扱う技術者の対象はそういったものが中心となるため活躍の場面は高集約かつ統合的な基盤を構築するといった道筋になるのではないか?技術者にとっては少数精鋭の道となりそう。

5年後も必要な情報技術(サーバOS分野)
Linux等オープンソースのサーバOS
Windows系サーバOS
UnixサーバOS
Linux等オープンソースのサーバOS
メインフレーム用OS
0.000
0.100
0.200
0.300
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サーバOS
B. Windows系サーバOS B. UnixサーバOS B. Linux等オープンソースのサーバOS
B. メインフレーム用OS 対数 (B. Windows系サーバOS) 対数 (B. UnixサーバOS)
対数 (B. Linux等オープンソースのサーバOS) 対数 (B. メインフレーム用OS)
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WGメンバー意見
? DBMSとアプリケーションサーバの両者ともオープンソース系が堅調に成長し、商用は伸び悩みそうに見える。ただし実績の大小では商用がまだ優位。
? オープンソースDBMSは性能、機能の拡充により今後拡大は見込める。
? 一方でデータマネジメントへの関心の高まりからか BIも伸びており商用DBMSにおけるBIとの統合運用性は今後オープンソース DBMSの追撃をかわす成長の鍵となるかもしれない。
? 特に商用ミドルウェアが重視されるようなミッションクリティカル寄りの分野ではプライベートクラウドのような集約基盤が増えており、従事する技術者が少数精鋭化するのでは?
? BIは伸びそう。

5年後も必要な情報技術(ミドルウェア分野)
オープンソースアプリケーションサーバ
オープンソース DBMS
BI

商用Webアプリケーションサーバ
オープンソースアプリケーションサーバ
商用DBMS
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ミドルウェア
C. 商用Webアプリケーションサーバ C. オープンソースアプリケーションサーバ F. 商用DBMS
F. オープンソースDBMS F. BI 対数 (C. 商用Webアプリケーションサーバ)
対数 (C. オープンソースアプリケーションサーバ) 対数 (F. 商用DBMS) 対数 (F. オープンソースDBMS)
対数 (F. BI)
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カウディナのくびき(5)

 「ザスーリチの手紙への回答および下書き」
中国ではテキスト・クリティークが行われていない、初歩的ながら、検討してみたい。

カウディナ山道という言葉が出てくる当該個所の原文(仏語)を示すと、第一草稿の最初の出現箇所

《仏語原文》
De l'autre c t , la contemporan it de la production occidentale, qui domine le march  du monde, permet la Russie d'incorporer la commune tous les acqu ts positifs labor s par le syst me capitaliste sans passer par ses fourches caudines.

この各国語訳は以下のようである。
《ドイツ語訳》
Andererseits wird es Ru land erm glicht, durch die Gleichzeitigkeit mit der westlichen Produktion, die den Weltmarkt beherrscht, der Gemeinde alle positiven Errungenschaften, die durch das kapitalistische System geschaffen worden sind, einzuverleiben, ohne durch das Kaudinische Joch gehen zu m ssen.

《英語訳》
On the other hand, the contemporaneity of western production, which dominates the world market, allows Russia to incorporate in the commune all the positive acquisitions devised by the capitalist system without passing through its Caudine Forks.

《中国語訳》
一方面,和控制着世界市 的西方生 同 存在,使俄国可以不通 本主 制度的 夫丁峡谷,而把 本主 制度的一切肯定的成就用到公社中来。

《日本語訳・平田清明訳》
他方において世界市場を支配している西洋の<資本主義的>生産と同時に存在していることは、ロシアがカウディナのくびき門を通ることなしに、資本主義制度によってつくりあげられた肯定的な諸成果のすべてを共同体のなかに組みいれることを可能にしている。(『マルクス・エンゲルス全集』第19巻)

《日本語訳・手島正毅訳》
他方において世界市場を支配している西洋の生産が時を同じくして存在していることが、カウディーネの岐路を経ることなしに、ロシアが資本主義制度のつくりあげた肯定的な諸成果をこの共同体のなかに汲みいれることを可能にしている。(『資本主義的生産に先行する諸形態』国民文庫)


※第一草稿では、もう一か所、カウディナ山道が使われている。
《仏語原文》
Elle est m me de s'incorporer les acqu ts positifs labor s par le syst me capitaliste sans passer par ses fourches caudines.

 このドイツ語、英語、中国語、日本語訳は以下である。

《ドイツ語訳》
Sie kann sich alle positiven Errungenschaften aneignen, die von dem kapitalistischen System geschaffen worden sind, ohne dessen Kaudinisches Joch passieren zu m ssen.

《英語訳》
It is in a position to incorporate all the positive acquisitions devised by the capitalist system without passing through its Caudine Forks.

《中国語訳》
它有可能不通 本主 制度的 夫丁峡谷,而享用 本主 制度的一切肯定的成果。

《日本語訳・平田清明訳》
それは資本主義制度のカウディナのくびき門を通ることなしに、資本主義諸制度によってつくりあげられた肯定的な諸成果を、みずからのなかに組み入れることができるのである。

《日本語訳・手島正毅訳》
それは、カウディーネの岐路を経ることなしに、資本主義制度がつくりあげた肯定的な諸成果を汲みいれることができる。

 なお、第一草稿には、削除されたパラグラフのなかにも、カウディナのくびきが使われているが、第二のものと、ほぼ同じ文である。


 以上の、仏文、ドイツ語訳、英語訳は、以下より入手している。

http://www.communisme-bolchevisme.net/download/Marx_Engels_Textes_choisis_1875_1894.pdf

http://www.mlwerke.de/me/default.htm

http://www.marxists.org/archive/marx/works/1881/03/zasulich1.htm

 中国語訳については
『馬克思恩格斯全集』第19巻から引用している。


 上記の仏文及び各国語訳から理解できることは、
中国語訳
「可以不通過資本主義制度的 夫丁峡谷, 而把資本主義制度的一切肯定的成就用到公社中来」、

あるいは
「它有可能不通 本主 制度的 夫丁峡谷,而享用 本主 制度的一切肯定的成果」

の訳は間違っているわけではない。
中国語訳も、それを日本語に訳せば、ほぼ同じ意味になる。

 だが、文のかかり方が、中国語訳では異なっている。
仏文及びドイツ語、英語訳とも、
「できる」と言われているのは、
「資本主義が作り上げた一切の肯定的成果を吸収すること、自らのものにすること」、である。
そして、それに、「カウディナの岐路を経ることなしに、あるいはカウディナのくびきをくぐることなしに、可能となるのだ」、
ということが後から追加されている。
つまり、仏文やドイツ語、英語訳では、
中国語訳で問題となっている、カウディナ山道は「通過しなくてもよい」のか、それとも「跳び越えることができる」のか、といった議論は…最初から成り立たない、少なくとも文の中心的な意味ではないと考えられる。

中国語訳が上記のような訳になったのは、sans+不定法、ohne+zu 不定詞、without+動名詞で表わされるような、「〜することなしで〜を可能にする」前置詞がないからである。
各々の言語に、どんな言い方があるのか、ないのかというのは、ある意味では偶然の問題である。その偶然が、とてつもない「大発見」を生むことに繋がったのである。
逆にいえば、仏文、ドイツ語、英語訳を利用する限り、中国の理論家たちのような「カウディナ山道」に巨大な意味を持たせることはない、といえる。
たとえば、シャーニン(Teodor Shanin)『後期マルクスとロシアの道』(Late Marx and the Russian Road, 1983)に収録されている「ザスーリチの手紙への回答および下書き」の英訳では、
without having to pass under its harsh tribute となっており、カウディナのくびきは harsh tribute (重い負担、代償)と意訳されている。
カウディナのくびきに、何か特別の意味があるとはシャーニンも考えなかったのであろう。以上は、カウディナ山道をめぐる議論が、どうして中国においてのみ生じたのか、ということを理解する、十分な手がかりになると思われる。

 では何故、中国の論争において、まったくといってよいほどテキスト・クリティークがなされなかったのであろうか。論文が数百篇もある領域において、まったくないというのも奇妙であろう。あるいは、テキスト・クリティークの不可能性が存在すると考えた方がよいのかもしれない。
 反カウディナ派のなかに、外国の文献を閲覧する可能性の高い人々が多く存在する。たとえば、1996年、反カウディナの論陣をはった段忠橋(1951年生)は、当時中国人民大学哲学院教授であったが、1990年代前半にエセックス大学で学んでおり、原文や独訳、英訳を閲覧することが可能であったと思われる。
張光明(1955年生)は人民大学国際政治系で博士号を取得しており、2003年論文発表当時、中央編訳局研究員であった。さらに呉銘(1955年生)は、1996年当時、中国人民大学国政系の博士課程生であったと思われる。呉銘については、反カウディナの先陣を切ったすぐれた論考にもかかわらず、その後の消息がまったくない。当時、段忠橋や張光明と無関係であったと想定するのは不自然であろう。そのほか、許全興(1941年生)は当時中央党校副教授であった。また、陳文通はおそらく中央党校研究員であったと思われる。中央党校という党の理論機関から、カウディナ山道資本主義跳び越え論への批判が提出されたということ、これをどう理解すべきか、今となってはその手がかりをみつけることは容易ではないが、少なくとも、この事実は、党校という機関の性格を考える上で、興味深い事実であると思われる。
上記からわかるごとく、呉銘以外は、原文や独訳、英訳を入手したり閲覧したりすることが容易であったと思われる。また、その呉銘にしても、入手の可能性はあったと考えられる。
 逆もまた真なりである。反カウディナ派が原文を読んでいた可能性があるということから、カウディナ派の俊英たちもまた、原文を読んでいた可能性が高い。それは、『馬克思主義来源研究論叢』第11輯(1988年)からも窺えるように、マルクス『民族学ノート』(人類学ノート)研究に結集した栄剣(1957年生)ら若手理論家たちは、一般的に、原書や原文に高い関心を示しているからである。
彼らは、原文を読んだにもかかわらず、それもでもなお、東方社会理論の中核にカウディナ山道資本主義跳び越え論を据えた、あるいはカウディナ山道の理論を主張し続けたと考えた方が、より合理的であろう。

なぜなら、無理であろうとなかろうと、彼らは理論的に突破しなければならなかった。
1980年代後半においては、資本主義補講論を論破するために、1990年代前半は、天安門事変以降の逼塞状況を打破するために、である。
 それゆえ、現在、原文を持ち出し、カウディナ山道資本主義跳び越え論が、マルクスの理論からも実証されえないといったところで、彼らは聞く耳をもたない。
だが、理論的な無理押しはいずれ破綻する。かの、世界史の基本法則、スターリンの歴史発展の五段階論は、20世紀社会主義の崩壊とともに、跡形もなく消え去った。
カウディナ山道資本主義跳び越え論、あるいは東方社会理論は、中国がこれまで誇ってきた数々の理論、たとえば、主観的能動性に関する理論、儒法闘争史観、三つの世界理論などと同じように、いずれ記憶の彼方に消え去るであろう。
だが、そのような時期が来るまで、なおしばらく現在の隆盛を享受し続けるであろう。

カウディナのくびき(4)

 東方社会理論は、徹底した生産力主義をとっている。「進んだ・遅れた」の基準は生産力の差である。生産関係は二次的なものとされ、ましてや政治システムや文化はほとんど無視されている。生産関係が二次的なものとされているのは、ソ連や中国が先進的な生産関係、すなわち社会主義的生産関係をとっていたのに、経済的には欧米に大きく後れをとってしまったことを説明できないからである。

はたして社会主義ソ連や中国の生産関係が、資本主義よりも先進的なものであったのかどうか、むしろ、アジア的生産様式や、オリエンタル・デスポティズムに飼いならされた生産システムにもとづくものではなかったのか…などとは、もちろん考えるはずもないのであろう。
東方社会理論の力点は、スターリンや毛沢東の体制のもとで、生産力の発展が無視されたこと、それゆえ欧米資本主義にひどく後れをとり、1989-1991年の崩壊を招いたこと、に置かれている。
そうである以上、1989年天安門事変以降の困難な時期にあっても、欧米の経済的な包囲のなかでも、欧米先進諸国との経済交流は維持され、発展されなければならない、と論者たちは力説したい。
そこで持ち出されているのが、「ザスーリチの手紙への回答及び下書き」の、進んだ西欧諸国と同時に存在していることが、遅れた、古き農村共同体の再生に有利に働く、との一節である。同時期の『共産党宣言』ロシア語序文第二版にある「ロシア革命が西欧プロレタリアート革命にたいする合図となって、両者がたがいに補いあうなら」の一節も、時に引用され、ともに、西欧資本や経済システム導入の理由づけに供せられている。
だが、この交流はあくまでも、経済的なもの、あるいは中国の改革に役立つものでなければならない。マルクスやエンゲルスが、東西の革命が相補う、と述べた場合、交流は経済的なものだけに限らない。むしろ、デスポティズムに慣らされた東方の労働者や農民のためには、西欧プロレタリアートが培った政治システムの導入もまた重要であったはずである。それがなければ、東方では、労働者も農民も、せっかく獲得した政治的権利を、再び革命指導者に譲り渡してしまう可能性が高いからである。

 現在の中国のマルクス主義者にとって、そのような議論は余計なものであろう。さらにいえば、東方社会理論は、装いを新しくした中体西用論である。一般的には、誰であれ、中国の要路の人々は中体西用論者であるといえよう。欲しいのは、外国の進んだ生産技術、生産方法であって、文化はむしろ中国が進んでいるので、国外のものは必要ない。政治システムは、国外のものは国情に合わないので、頑固に拒否する。まさに、それらの点において、東方社会理論は、マルクス主義の皮を被った中体西用論である。
遅れた中国の改革のためには、欧米の進んだ生産技術、生産方法を導入しなければならない。だが、マルクス主義にもとづき民主集中制は維持されなければならない、それゆえ、政治システムの導入は論外である。また、経済に付随してやってくる文化的なもの、とくに思想や価値観は、できるだけ侵入を阻止しなければならない。なぜならば、中国の方が優れているからである、あるいは外国のものは汚れているからである。もし、導入しなければならないとしたら、文化のなかでも経済文化、それも改革に役立つ経済文化を選択的に導入すればよいのだ、云々。(続く)

カウディナのくびき その三
 今度こそはと思い、1990年から2010年までの、アジア的生産様式論及び東方社会理論(カウディナ山道跳び越え論を含む)を、一気に読んでみた。たぶん、これまでの分と合わせ、アジア的生産様式論100篇余、東方社会理論100篇余、計200篇余りを読んだことになる。
さらに、カウディナ山道資本主義跳び越え論の礎となった栄剣「関於跨越資本主義"夫丁峡谷"問題」(『哲学研究』1987年第11期)、
およびおそらくは東方社会理論をタイトルに冠した最初の論文、張奎良「馬克思的東方社会理論」(『中国社会科学』1989年第2期)も入手し、1980年代後半の、これらの理論の草創期の雰囲気を知ることができた。

 早い時期のものは、江婉貞「中国的発展不必通過資本主義制度"夫丁峡谷"」(『文匯報』1987年3月4日)である。
この論文は、当時民主派の代表的論客の一人であった王若望などが主張したとされる資本主義補講論への反論、資本主義を跳び越え社会主義段階に入ることはマルクスの社会発展論に反しており、中国は資本主義をもう一度学びなおすべきだとの主張への反論として書かれている。
カウディナ山道の議論が1980年代後半になぜ始まったのか、ようやくわかってきたといえる。

当時の視点からいっても、今日的視点からいっても、資本主義補講論は間違ってはいなかったと思う。その後の中国の歩みはまさに、資本主義の補講そのものだったからである。それも、政治システムだけは伝統的なまま温存し、経済にかぎって資本主義をまねるという悪しき選択であった。権力の一極集中は修正されず、権力にぶらさがるものが栄え、富むという状況に何ら変わりはない。また、経済的に進んだ西欧から、ものや技術は欲しいが、文化的なもの、とくに考え方や制度的なものは受け付けないとする中体西洋論の横行をまねいている。
 おそらく、上記のような資本主義補講論を否定し、資本主義跳び越え論を如何に正当化するかという理論的課題が、カウディナ山道資本主義跳び越え論登場の背景であろう。
その登場が、趙紫陽のもと、社会主義初級段階論が登場した時期にほぼ重なるからである。初級段階の社会主義という微妙な表現は、受け取り方によっては、資本主義を再評価し、学びなおさなければならないという補講論に類似していたからである。

この課題(資本主義跳び越え論を如何に正当化するかという理論的課題)を担ったのが、多分、栄剣など若い理論家たちであり、彼らは晩年マルクスの人類学研究の再評価のなかから、「ザスーリチの手紙への回答および下書き」の意義を「再発見」したのであろう。
このプロセスは、『馬克思主義来源研究論叢』第11輯(1988年、商務印書館)からもうかがえる。同書は、マルクスの人類学研究の理論的な検証を目指したものであるが、19本の論文のうち、カウディナの議論に関連しているものが8本ほど掲載されている。

そしてアジア的生産様式論争にせよ、東方社会理論(カウディナ山道跳び越え論)をめぐる論争にせよ、論争の帰趨はすでに1990年代の後半には定まってしまっており、2000年以降はその延長で、内容的には平板なものにしかならない。

 2000年以降に、読むに値するものがまったくないというわけではない。筆者が入手した2000年から2010までの論文は、100篇ぐらいだと思われるが、そのなかでは張光明の二つの論文「関於所謂“跨越資本主義 夫丁峡谷設想”的真相」(『当代世界与社会主義』2003年第1期)、「従“跨越”到不可“跳躍”--重評普列漢諾夫的俄国社会発展規劃」(『当代世界与社会主義』2003年第2期)は、出色である。
『馬克思伝』(中央党校出版社,1998年)の著者だけに、「ザスーリチの手紙への回答および下書き」をめぐる背景、とくにロシアのナロードニキとマルクスやエンゲルスの関係が詳しく述べられており、そこから、マルクスが東方社会における社会主義への道、すなわちカウディナ山道資本主義跳び越え論を構想するに至ったなどという議論はまったく成立しないことを力説している。
だが、今のところ、唯一のカウディナの議論に関する総評である孫来斌「跨越資本主義"夫丁峡谷"20年研究述評」(『当代世界与社会主義』2004年第2期)は、カウディナ批判派の論文も公平にその名を挙げているが、何故か張光明には言及しない。

カウディナのくびき(3)

 今回読んだ論文は、そのほとんどが1990年代後半のものであり、そしてその著者のほとんどがカウディナ山道派、東方社会理論の支持者たちであった。

明確な批判者といえるのは陳明軍「馬克思没有提出跨越資本主義" 夫丁峡谷"的思想」(『河南師範大学学報』1999年第3期)のみであった。
ということは、1990年代後半、おそらく1997年頃にはすでに勝負がついていたのだと思われる。
郭榛樹「一個跨世紀的難題:"跨越 夫丁峡谷"--馬克思的東方社会理論研究綜述」(『企業導報』1997年第3期)に
かつて、中国はまったくカウディナ山道を越えていない、あるいはカウディナ山道を越えることができない、さらには資本主義の補修を受ける必要があるという誤った観点をとるものがいたが、近年来の探究や討論によって、上述の誤った思想は基本的に除去された、と述べているのが参考になると思われる。
資本主義の補修を受けるというのは、ソ連や東欧のように、社会主義からいったんカウディナ山道に戻って、資本主義を一定期間やり直す必要があると主張するものであろう。

 中国はいまだカウディナ山道を抜け出していないと主張して批判を浴びたのは、
段忠橋「対我国跨越" 夫丁峡谷"問題的再思考」(『馬克思主義研究』1996年第1期)
彼はまず、ロシアの農村共同体には古代以来の共同体的土地所有を保っていたという優位性があり、それゆえ、カウディナ山道を抜け出した西欧プロレタリアの社会主義革命の後に、資本主義がつくり出した成果を取り込むことができるとされたのであり、そのよう共同体的土地所有を保持していなかった半植民地半封建の中国社会には、カウディナ山道を跳び越える可能性は存在しなかったと述べている。
さらに、諸家を怒らせたのは、中国はいまだ完全にはカウディナ山道を抜け出していないと述べたことである。
なぜなら、我が国は資本主義経済の要素を消滅させていないし、それどころか、今後長い期間にわたってこの要素の存在を許し、さらに発展させようとしている。中国はマルクスが述べるような社会主義社会に到達していないし、また西欧の発達した資本主義社会がカウディナ山道を抜け出していない以上、我が国もまた完全には資本主義というカウディナ山道を抜け出してはない、と段忠橋は述べる。
 この段忠橋の主張は、我々にとっては極めてまっとうなものである。だが、たとえ初級段階ではあれ中国がいまだ社会主義を国是とする以上、社会主義を資本主義と同じ水準で扱うことは許されない。
布成良・陳海濤「我国没有走出"夫丁峡谷"?--与段忠橋商」(『馬克思主義研究』1996年第6期)、
張志義「我国目前還没有走出資本主義制度的"夫丁峡谷"?」(『学術季刊』上海社会科学院、1997年第1期)、
徐久剛「我国目前是否已走出資本主義 夫丁峡谷--簡評両種対立観点」(『社会科学』1997年第11期)
は、ともに、段忠橋に批判を浴びせているが、その根拠はいずれも薄弱である。20世紀ソ連で生まれ、中国もそれに倣った社会主義は、資本主義とは異なり、社会主義である以上、それはすでにカウディナ山道を抜け出したのだ、資本主義を越えたのだとか、中国の社会主義はマルクスが描いた社会主義よりは低い段階であるとはいえ、初級段階であっても社会主義であり、それをカウディナ山道とみなすことは、社会主義を否定するものだとか、中国はもともとカウディナ山道に入り込んでおらず、かつ1949年には社会主義段階に入ったので、カウディナ山道を抜けるとか抜けないなどということは問題にならないなどと言われようと、それらを信じるのは、あまりにも歴史に無知であるとしかいいようがない。どのような形であれ、社会主義と名がつけば、それ自体で資本主義以上に価値があると信じるものだけが、そのように言えるのだろう。

姚亜平「対馬克思"跨越 夫丁峡谷"設想研究的幾点思考」(『南昌大学学報』1998年第4期)
には興味深い記述。
マルクス・エンゲルスの東方社会理論は、後の実践とは大きく違うものであった。それは、パリ・コミューン以後、西欧にはプロレタリア革命が起こらず、東西のプロレタリア革命が互いに相補うという条件が実現しない状況のもとで、ロシアも中国も、社会主義建設を始めなければならなかったからである。東方の遅れた国々は、カウディナ山道の跳び越えを、西欧革命によって相補われることなく、一国における勝利の方法に照らして行なったのである。理論と実践は必ずや一致しないこともある。マルクス主義の運用は書物から出発するのではなく、すべては実際から、国情から出発しなければならない。我々がマルクスのカウディナ山道跳び越えの構想を研究することは、学風の問題である。一体全体、単純にマルクス主義の書籍のなかの片言半句から答をみつけようとするのか、真にマルクス主義の立場、観点、方法を堅持しつつ現在の中国の現実問題を解決しようとするのか、と。
 興味深いといったのは、カウディナ山道をめぐる議論、東方社会理論には最初から理論的に無理があることを、認めているかのような議論をしているからである。この理論は、実践に要請された理論なのだから、初めから無理があるのだ。だが、国情を重んじるならば、それ以外の選択がない以上、これを何が何でも擁護しなければならない。無理でもこじつけよ。筆者には、まるでそのように言っているかのように見える。
 カウディナ山道の議論、東方社会理論に関する論文を40本ほど読んできたが、厳密なテキストクリティ―クにもとづいて論理を組み立てているものはほとんどない。
とくにカウディナ山道派、東方社会理論の支持者の議論は、いずれも極めて相似た論理展開、相似た記述内容に終始している。たぶん、テキストクリティークはどこかでなされているのかもしれないが、それを諸論文から窺うことはできない。

我々は、「ザスーリチの手紙への回答及び下書き」について、日南田静真、平田清明、福富正実、和田春樹、淡路憲治、若森章孝等による、厳密なテキストクリティークにもとづく論考を読むことができるし、その議論の妙を味わうことができる。けっしてないものねだりをしているわけではない。

 さて、これまで読んだカウディナ山道の議論、東方社会理論に関する諸論文から、以下のような感想を得ている。以下、字数の関係から、議論の呼称を東方社会理論に統一したい。
 まず、東方社会理論が、東方社会の独自性、後進性を認めることの意味についてである。
一般的な議論として、非ヨーロッパ世界の、ヨーロッパとは異なった独自性や、後進性を云々することは、いつの時代においても、可能であったであろう。だが、20世紀社会主義のマルクス主義歴史理論においては、そうではなかった。
はしょって言うと、マルクス主義の歴史理論は普遍的な理論である以上、それが通じなくなるような、独自性をもった地域、民族や国家があったりすることは許されなかった。
1949年以降の中国マルクス主義においても同様であった。中国のマルクス主義歴史家たちは、中国の歴史を普遍的な歴史法則を体現したものとして記述していた。特殊性や独自性に言及するとすれば、この普遍性の範囲内においてであった。ソ連や中国においてアジア的生産様式論が異端とされたのも、その支持者を見つけるのさえ困難であったのも、それゆえであった。
郭沫若や田昌五は、中国の歴史に対する異質性の押し付け、外部から中国史の異質性を指摘されることをつねに警戒していた。

だが、1989-1991年以降、状況は変わった。
ソ連・東欧社会主義圏の崩壊は、外部から中国の異質性を指摘し続けていた一方の勢力の消失を意味していた。
さらに、重要なことは、中国がその歴史や社会の独自性や特殊性を強調しなければならない状況に陥ったことであった。
1989年天安門事変以降、中国は世界の大勢に反して、20世紀社会主義を保持し続け、西欧諸国の人権問題をめぐる中国批判に晒されることになった。このような状況のなかで、党独裁を維持し、西欧諸国との経済交流を維持しなければならなかった。自らを納得させ、外部からの批判をかわすためにも、中国と外国(西欧)との差異、国情の違いを強調することが必要であった。かくしてカウディナ山道の議論が発見され、それを中核とした東方社会理論が誕生したのである。非ヨーロッパ世界の歴史の独自性は、マルクス主義の創始者たち自身がすでに認めているとの指摘は、中国のマルクス主義者およびそのイデオローグにとっては、まさに渡りに船であり、また大きな慰めでもあったであろう。
カウディナ山道をめぐる議論が、今日の中国ほど破格の扱いを受けている例はほかにない。カウディナ山道という言葉が一人歩きしている例もない。これまでの「ザスーリチの手紙への回答及び下書き」をめぐる中国以外のマルクス主義者の議論のなかで、カウディナ山道に注目した例を筆者は知らない。
少なくとも、上述の日南田静真以下若森章孝まで、いずれの論者もカウディナに関心を示していない。
 東方社会理論の理論的基礎は、究極には、アジア的生産様式論に求められるはずであった。だが、筆者のみるかぎり、アジア的生産様式論は、東方社会理論の下僕といった役回りを与えられているにすぎない。その関係をみると、カウディナ山道を冠した論文よりも東方社会理論と題した論文の方が、アジア的生産様式に言及する可能性がはるかに高く、また、いずれの側においても、1995年前後の論文の方が1997年以降の論文よりも、アジア的生産様式により多く言及しているといえそうである。そこから、1995年前後が、東方社会理論にとって重要な時期であったことが窺われる。おそらく、論者たちは、アジア的生産様式に言及することで、ロシアや中国など非ヨーロッパ社会(東方社会)の独自性が、1850年代以来、マルクスによって一貫して探求されてきたことを示すことによって、東方社会理論がたんなる間に合わせの理論ではないことを証明しようとしていたものと思われる。
 ついで、東方社会理論は、ロシア、中国がもともと遅れた社会であることを明示することによって、改革の困難さを強調し、それを無視したことが、多くの挫折につながったことを指摘している。これらの議論は、現在の改革は長期にわたるものであり、その過程においては、性急な政治改革は国情に合わない、つまり多党制とか西欧的な議会政治は時期尚早だと主張しているのだ。