東北・戊辰戦争の回顧…[八重の桜](NHK)に寄せて、郷土史の点検

『八重の桜』は舞台が福島県ということで、東北復興ドラマとしてPRされてます、
会津藩に批判的立場を取らないのはわかりますが、戊辰戦争をあまりに[会津藩の悲劇]との観点では…歴史に対して基本的誤解に終わるとも思います。

以下は福島県人として、郷土史を見直す作業です。


仙台藩米沢藩会津嘆願運動について

[関宿会談]
◆慶応4(1868)年4月29日、現在の宮城県刈田郡の関宿にて
会津藩の嘆願についての協議を行なっています。

◆参加者
仙台藩の代表、家老の坂英力(さかえいりき)、但木土佐、真田喜平太
米沢藩の代表、家老の木滑要人、片山仁一郎、大瀧新蔵・会津藩家老の梶原平馬

仙台藩側の史料である『仙臺戊辰史』を参考に再現 (原文は文語体であり、わかりにくいので、現代文に翻訳してます)


仙台藩但木土佐→会津藩梶原
「今回、会津藩が謝罪降伏を申し入れるは、城を明け渡すことはもちろんのこと、首謀者の首級を差し出すべきではないかと思うがいかがでござる?」
(首謀者とは鳥羽・伏見の戦いの責任者を指す)

会津藩梶原の反論
「藩主公の城外謹慎については応じるが、首謀者の首級を差し出すことは無理。鳥羽・伏見の戦いに関係のある者はほとんどが戦死し、生き残っているのは一両名だけである。
これらの者は藩のために忠義を尽くしたのであり、彼らの首を斬れば藩内は動揺して変事が起きるかもしれない。
鳥羽・伏見の件については、徳川慶喜公が一身に責任を負い、その謝罪嘆願状にも、『私一身の罪であって他の将の誤りではない』と記載し、朝廷もこれを受理しているではないか。
それ故に、我が藩に罪があったとしても、罪は既に消滅しており、さらに罪に問われて討伐を受ける理由はない」

 (この梶原の論は、理屈的にはその通りかもしれない。しかし、会津藩仙台藩が直面している現実=[既に奥羽鎮撫総督府が東北に派遣され、そして会津藩を攻めようと奥羽諸藩を督戦している状況]…正論が通用しない、という状況にあるわけで、この段階で梶原の発言が通用するはずが無い。そのために、仙台や米沢藩が日夜協議しているのであるから、仙台藩米沢藩重臣達は、「何を今更そんな正論を持ちだしているのだ……」と失望する気持ちになったかもしれない。)

仙台藩但木
「首謀者の首級を差し出さないとあっては、降伏謝罪の嘆願の取り次ぎは出来ない。例えその願いを取り次いだとしても、総督府は決してそれを許さないだろう。その時は貴藩はどうするのか?」

会津藩梶原
「その時は、会津藩士、皆死をもって領土を守るのみである」
(この辺りの会津藩梶原の論は精神論であり、仙台や米沢藩は、現在の奥羽諸藩が置かれた実状を踏まえた上で、現実策を取ろうとして模索し、協議を行なっているというのに対し、会津藩は精神論で対抗するとあっては、嘆願も何もあったものではない。)

仙台藩但木
「全藩皆死をもって戦うのと、僅かに一両人の首級をもって、会津藩の国命に換えるのと、どちらが大事であるか、よく考えるべきではないか」

梶原は思案を続けるが、結論が出ない様子…

やり取りを見ていた仙台藩真田喜平太は、梶原に対して次のように言う。

「もし、首謀者の首級を差し出せないということなら、速やかに帰って軍備を整えて待たれよ。我は諸君と戦場で相まみえようではないか。
元来、臣子の罪は君父の過失でもある。貴藩が君臣の義を正すのであれば、鳥羽・伏見の一挙は慶喜公の過ちにあらず、実に容保公の罪と言うべきものではないか。
また、貴殿にあっては『先の一挙は、藩主容保公の罪ではない。我々重臣共の罪である』と言うべきではないか」
 (容保公の罪は家臣である貴殿らの罪と言えるではないかと、首謀者の首級を差し出せないと言った梶原の論に反論したのです。)

こう真田に言われては梶原も納得せざるを得なく、梶原は深く考えた後、
「確かに貴殿の言う通りである。では、首謀者の首級を差し出すことにいたそう。しかしながら、奥羽鎮撫総督府の参謀は薩長両藩の藩士と言うではないか。我藩がいかに誠意を尽くし、首謀者の首級を差し出したとしても、彼らは元々会津を討伐して私怨を晴らそうという心積もりなのだから、また無理難題を突き付けるに違いない。この点はどうすれば良いのか?」
 と逆に問いかけてきた。

但木は次のように言う。
「誠心誠意を尽くして悔悟の実を態度に示せば、必ずその嘆願は聞き届けられる。このことについては拙者達が保証する」

梶原は
「それでは、一応国元に帰って藩主公(容保)に事情を申し上げ、首謀者の首級を差し出して、悔悟の実を表し、嘆願書を持参いたす」

これで関宿での会津藩と仙台・米沢両藩の会談は終了した。


 会津藩嘆願運動に奔走する仙台や米沢藩の人々は、戦を好まない九条ら公卿衆に目をつけ、「彼らを上手く丸め込んで事を謀れば、会津の嘆願も何とかなるのではないか」 という望みを持っていたことが、関宿での但木土佐の強気な姿勢に現れているよう。

 しかし、会津藩自体は「寛大に処する用意がある」という通達を20日間も無視し、そして閏4月15日付けで、回答書を総督府に対し送り返す。
『御沙汰の趣意はありがたく拝承いたしましたが、我々は徳川家の家名がどうなるかを見届けない内は、謝罪をするつもりはない覚悟でございますので、その旨を願い上げます。以上。
 陪臣松平肥後守(容保)』

この回答書は一種「宣戦布告書」とも取られかねない、非常に危険な強行姿勢を示した文書である。
関宿の会談において、梶原に念を押した但木らの意向はことごとく無視され、仙台や米沢藩の嘆願運動を全て無駄にするような挑戦的な文面と言える。

 会津藩は「会津が謝罪の態度を示すならば、寛大な処置にしても良い」という総督府の通達を完全に無視し、「これは総督府の謀略に違いない。こうやって油断させておいて、結局は討伐するつもりである」と勝手な判断を行い、このような文書を総督府に対し送りつけたのである。

 これによって、仙台や米沢藩の嘆願運動は失敗し、会津藩と奥羽諸藩の運命は決したと言ってもよいでしょう……。

 この会津藩の回答書については、長州藩の通史でもある『防長回天史』を著した末松謙澄は
当時の会津藩の態度を(総督府の行ないと言えば、何事も色眼鏡をかけて見るかのように拒否している)と論じています。

慶応4(1868)年3月2日、奥羽鎮撫総督府が京から仙台に向けて出発…総勢でも約570名程度の少数兵力でした。

 会津藩を筆頭に、仙台、米沢、秋田、南部などの大藩がひしめく東北を570名程度の兵力で鎮撫しようとしたことには無理があったようです。

当時の新政府には、「奥羽諸藩の鎮撫に関しては奥羽諸藩の兵力を使って処置する」…という方針がありました。

当時、徳川家の江戸城はまだ開城されておらず、幕府軍はそのまま存在、新政府は東北地方に大きな兵力を割ける状態ではありません。

 当時の新政府自体の基盤からは…多数の兵力を東北に派遣することは不可能でした。

新政府が目をつけたのは仙台藩の存在…仙台藩は62万石を有する東北一の雄藩であり奥羽諸藩の盟主的な存在…当時の新政府は、奥羽鎮撫の主要な目的である「会津藩討伐」を仙台藩を中心にした奥羽諸藩で行なわせようと考えていたのです。

 新政府が慶応4(1868)年1月17日付けで仙台藩に下した勅命
 「会津藩松平容保は、この度徳川慶喜の反謀に与して、錦旗に発砲し、大逆無道の行ないであったので、征伐軍を発することになった。そのため、貴藩一藩の力をもって会津本城を襲撃したいとの趣旨の出願をしたこと、武士道を失わない奮発の心がけ、誠に神妙の至りで、主上天皇)もご満足の思し召しである。よって、貴藩の願い出の通り、会津征伐を仰せ付けるので、速やかに追討して功をあげるよう御沙汰する。戊辰正月」

これは仙台藩にとっては、青天の霹靂…「我が藩一藩をもって会津藩を攻めたい」という正式な願い出を行なった事実がなかった。

仙台藩側は新政府に対し、「このような願い出を行なった事実はありません。何かの誤解ではないでしょうか」と申し出て、
1月20日に改めて下された勅命からは、「其ノ藩一手ヲ以テ」という言葉が削除される。

大久保一蔵(後の利通)が、1月16日付けで薩摩に居た島津久光の側近、蓑田伝兵衛に宛てた手紙
仙台藩主(伊達慶邦)も近々上京するとのことであり、また仙台藩の重役が上京し、会津藩征伐を一手に仰せつかりたいとの願い出がありました。関東より西は近いうちには治定する見込みが立っておりますが、関東より東は甚だ難しいと思っておりましたところ、仙台藩よりこのような願い出があり、官軍に属すということは非常に喜ばしい次第で、これで巣窟を砕くことも安易なことになりました。これで何事も全て治定した上で征東することになろうかと思っております」

やはり仙台藩からは正式な願い出ではないながらも、口頭か非公式の申し出は、何らかのアクションが仙台藩関係者からあったことは間違いないよう。

慶応4(1868)年1月12日に仙台藩士・坂本大炊(さかもとおおい)と一条十郎の二人が論と藩主の主命を奉じて京に入った。

 大久保が「仙台藩の重役が上京し」と書いたのは1月16日。

 そして、「其ノ藩一手ヲ以テ」の勅命が仙台藩に下されたのが1月17日。

 日づけと経過、そして後の行動を考えるなら
仙台藩から内々にアクションを起こした人物とは、坂本であったと見当をつければ事実と符合するように思います。

・東北地方に大きな兵力を割くことが出来なかった
・新政府の東北諸藩鎮撫に関する基本方針が奥羽諸藩同士で決着させるということであった
・新政府の仙台藩に対する大きな期待…
…三つの理由から、新政府は奥羽鎮撫総督府にわずか570名程度の兵しか付けず、東北の地に送り込むことにしたのです。

 しかし、結果論からは、新政府の考え方や方針は実に甘いものであったよう。奥羽鎮撫総督府が仙台に入って後も、奥羽諸藩の動向や方針は定まらず、結局は事態が複雑化し、参謀の世良が暗殺されて、事態は最悪の戦争へと突入していく。

 東北の地に入っても、まだ奥羽諸藩の動向がはっきりしない不安定な情勢の中、兵力も非常に乏しかったことから、世良が唯一頼りに出来たのは「朝廷の威光」のみであったのではないでしょうか。兵力を背景に持っていない世良の立場は、まさに「綱渡り状態」とも言うべき非常に危ういものであり、彼が唯一武器に出来る物とは、「朝廷から派遣された軍隊である」という肩書きだけしかなかったと言えると思います。

 世良がことさらに武張って、人を人とも思わないような尊大な態度を取った理由の心底には、奥羽鎮撫総督府下参謀という大役を立派に果たしたいという責任感が、世良自身の異常なまでの気負いとなってしまったことが、原因となっているのではないかと思います。
また、重要な使命を課され、大きな重責を背負った人間は、その重圧からくる大きなプレッシャーから、逆に弱みを見せないために大きな態度に出るようになるということは、よくある傾向と言えるのではないでしょうか。

 世良としては、「朝廷から派遣された官軍である」ということを全面的に押し出して、奥羽の諸藩を厳しく督戦することが、自らの弱みを見せないことにも繋がり、また何よりも効果がある手段と考えていたのかも。

 しかしながら、実際はその効果が大きく逆に出てしまった。

 世良は「朝廷の威光」を大きく見せるために、敢えてこういう厳しい態度で奥羽諸藩の重臣達に接したのでしょうが、そのことが彼ら重臣達にとっては、世良が誠に失礼極まりない人間と映り、逆に奥羽諸藩が新政府に対し、大きな不信感を生む。

 そして、その不信感が、やがて大きな抵抗感へと変わり、事態に窮した仙台藩士達が世良を暗殺することにより、奥羽諸藩は自らの生き残りをかけることになります。

世良暗殺が戊辰戦争勃発の大きな原因となり、最終的には東北の平和を望んでいたはずの奥羽諸藩が、新政府と敵対せざるを得ないことになるのですから、歴史は思わぬ結末を生みだすものであると感じらます。

会津という神話〈二つの戦後〉をめぐる”死者の政治学” 単行本 出

面白い本です。
専門書でありませんが歴史学専門家が書いてる解説書です。
通説を真っ向から批判する論争の書です。

内容(「BOOK」データベースより)
幕末維新期、戊辰戦争を頂点とする一連の戦いにおいて、会津の戦死者はナショナルな祭祀から排除された。彼らと、生き残った会津の人々とが経験した「犬死に」―この非業と不条理に満ちた死の経験は、その後どのように「克服」され、「解決」されていったのか。本書では、戊辰戦争西南戦争での戦死者を会津の人々がどのように認識し、自らのアイデンティティを組み立てていったのかを明らかにする。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
田中/悟
1970年大阪市生まれ。1993年京都大学文学部卒業。社会人を経て、2002年立命館大学法学部中退。2008年神戸大学大学院国際協力研究科博士課程修了。博士(政治学)。現在、神戸大学大学院国際協力研究科助教。この間、成均館大学校東アジア学術院研究員、国際日本文化研究センター共同研究員、大阪女学院短期大学非常勤講師、ソウル大学校国際学研究所客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

《目次》
序章 死者と共同体
第1章 会津藩戊辰戦争―近代会津へのプロローグ
第2章 「阿蘇佐川官兵衛」をめぐる記憶と忘却
第3章 近代会津アイデンティティの系譜
第4章 「雪冤勤皇」期会津における戦死者の記憶と忘却
第5章 戦後会津における「観光史学」の軌跡
終章 “二つの戦後”をめぐる“死者の政治学


《最新書評》
「いまだに長州への怨念(おんねん)を抱いている」
 お酒の席でそんな思いを吐露する会津の人と、私はこれまで何度も出会ってきた。幕末の戊辰戦争で長州軍にさんざん痛めつけられた会津は、いまでもその時の恨みを忘れていないというのである。
 しかし、本書の著者はそのような感情は戦後になって高揚したもので、戦前・戦中の会津では、長州人と同じ「勤皇精神」の持ち主だという思いが大勢を占めていたという。「長州への怨念」は、戦後に「無垢(むく)な敗者」「近代日本の被害者」というアイデンティティーを獲得する過程で、あらためて喚起され直した感情だというのである。
 戊辰戦争の死者は、明治政府によって「賊軍」とされ、国民の物語から排除された。しかし、会津の人たちは勝者による物語の独占に異を唱え、自分たちこそが真の勤皇の志士だったと主張する。そして、国民の物語への吸収を悲願とした。
 この願いは、1928年に会津松平家の節子(勢津子)と秩父宮雍仁(やすひと)の縁組が実現することで果たされる。さらに30年代後半、徳富蘇峰が各地で行った講演で、「会津は逆賊などではない」と強調し、その「尊王の大精神」を称揚したことによって達成された。そして会津の「勤皇精神」は「大東亜戦争」中に国民が見習うべき規範という地位を確立し、絶頂期を迎える。
 しかし「大東亜戦争」の敗戦によって、会津の人々はこの物語をリセットし、司馬遼太郎による「悲劇の会津」という新たな物語に飛びついた。会津人は「軍国主義の寵児(ちょうじ)」という側面を「忘却の淵(ふち)に沈め」、好都合な「司馬史観」に乗り換えたのである。その過程で白虎隊の「非業」や「純粋さ」が神話として再設定され、会津の観光化の中で利用されていったと著者は主張する。
 会津にとっての二度の敗戦経験は、どのような記憶を紡ぎだし、何を忘却していったのか。本書の問いかけは、会津という空間を越えて、靖国神社に象徴される「国家と死者」の問題に鋭いメスを入れている。

〈評〉中島岳志北海道大学准教授・アジア政治)
※※※(BOOK.asahi.com朝日新聞社の書評サイト http://book.asahi.com/reviews/reviewer/2011071704693.html)より※※※


※※※ところで、
# 書評で紹介されているCiNii論文は必読です。
田中悟『戦後会津における「観光史学」の軌跡』 https://t.co/0xt37GZnH7

※「会津の悲劇」そのものが司馬遼太郎や宮崎十三八により相当盛った形で都市伝説として出来上がっていく様子が描かれている。


http://ci.nii.ac.jp/naid/110007145162
戦後会津における「観光史学」の軌跡 田中 悟
神戸大学大学院国際協力研究科
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/infolib/meta_pub/G0000003kernel_81001449
 ↓
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/81001449.pdf
が タダで読めると・・・・・・・・・・・・・

※※※
「CiNii」とは…
国立情報学研究所が運営する論文検索サービス
学術論文を検索してPFDファイルに落とせます。
要するに無料で読めるってことです。


 地道な研究と知の成果には相応の対価が払われるべきではないか…という議論もありますけどね??

 単行本は高いから、CiNiiにある論文を無料で読もう!…という発想は実に品下がる言い方ですが、それでもつい書いてしまう。


なにしろ、
ミネルヴァ書房・6825円
アマゾンで中古なら安いですけど、4800円…

買える余裕がある方は応援して下さいね??

glob

glob という名前を持つ変数すべてを意味します。
変数は以下のように値を代入したり出力することができます。
# 変数に文字列を代入
$value = "テストです";
# 変数を出力
print $value;
【参照ページ】
変数
配列
複数の値を1つの変数で管理したい場合は、『配列』という変数が最適です。 配列を初期化する場合は、要素をカッコで囲み、各要素毎にカンマで区切ります。
@week = ('日曜', '月曜', '火曜', '水曜',
'木曜', '金曜', '土曜');
配列はインデックスを使って参照します。インデックスは 0から始まるので注意してください。たとえば1番目のデータ "日曜" を呼び出すときは、$week[0]、"月曜"なら $week[1] とします。
# 配列 @week の1番目の要素を表示
print $week[0], "\n";
> 日曜
# 配列 @week の2番目の要素を表示
print $week[1], "\n";
> 月曜
【参照ページ】
ハッシュ
配列と同じように、関連ある複数のデータをまとめて扱うことのできる変数があります。それが『ハッシュ』です。配列はインデックスで値を管理していましたが、ハッシュはキーで値を管理します。配列と比べたときのハッシュの利点は、キーで値を管理できるので、可読性が高くなることにあります。
%week = (
'Sun' => '日曜',
'Mon' => '月曜',
'Tue' => '火曜',
'Wed' => '水曜',
'Thu' => '木曜',
'Fri' => '金曜',
'Sat' => '土曜',
);
配列では、[ ] でインデックスを囲みましたが、ハッシュは、 { } でキーを囲みます。
print $week{'Sun'};
> 日曜
【参照ページ】
ハッシュ
3.式と項
****
4.制御文の使い方
条件文
「もし〜ならば、・・・を実行する」という条件つき命令は、プログラムの流れを制御するときによく利用されます。 次の使用例は、変数の値によってメッセージを変えています。
if ( $var eq 'A' ) {
print "Aです";
} elsif ( $var eq 'B' ) {
print "Bです";
} else {
print "AでもBでもない";
}

ループ文
配列の値すべてに処理したいとき、foreach が便利です。foreachは、リストの1番目から順番に変数に代入していき、ブロックを実行します。リストが終了した時点で繰り返しが終了されます。
@week = ('Sun', 'Mon', 'Tue', 'Wed', 'Thu', 'Fri', 'Sat');
foreach $value( @week ) {
  print $value, "\n";
}
> Sun
> Mon
> Tue
> Wed
> Thu
> Fri
> Sat
【参照ページ】
制御構文
5.ファイル入出力
ファイルを読み込むには open 関数を使います。open 関数の引数には、ファイルハンドルとファイルパスを渡します。
# 読込用にファイルを開く
open FH, "< filename.txt";
ファイルの1行目を読み込むには、ファイルハンドルを利用して次のように記述します。
$in_line = ;
すべての行を読み込んだり出力するには、while 文を使います。
構文
while (条件式) { 真のとき繰り返す } 条件式が真の間、ブロックを実行します。判定はループの最初に行われます。ループの間条件が決してFALSEにならない場合、命令が永遠に実行されます。 入力「<>」を while(<>) のように使うと、特殊変数 $_に読み込んだ行が入るようになっています。
open( DAT, "test.dat" );
while ( ) { # "test.dat"を1行ずつ読み、出力する
    print $_, "\n";
}
close( DAT );
ファイルを出力したい場合は、読み込むときと少し勝手が違います。読み込む際はファイル名の前に <という記号をつけていましたが、書込みの場合は > という記号をつけます。
# 書込み用にファイルを開く
open FH, "> filename.txt";
# データを出力
print FH $line;
close( FH );
【参照ページ】
ファイルハンドル
当然のことですが、ファイルを扱う際には、ファイルにしかるべきパーミッションが設定されている必要があります。 ファイルの読み書きをする際の手順は下記のとおりです。
ファイルを開く(open)
ファイルの内容を読みこむ/ファイルに書き込む(print など)
ファイルを閉じる(close)
openの際に、ファイルに対するアクセスの種類を決定します。具体的には、読み込みだけなのか、ファイル末尾に書き込むのか、ファイルを新規に作成してから書き込むのか、などです。openの第二引数がその指定です。詳しくは perldocやリファレンスを見ていただきたいのですが、下の例では、読み込みだけ( "<ファイル名" ) で openしています。

下の例は、UNIX コマンドの catのように、あるファイルの内容を行番号をつけて表示するプログラムです。複数のファイルが指定されれば、それらを次々に表示します。
ファイルの読み込み
foreach $fname ( @ARGV ) {
print "--------- $fname ---------\n";
open FP, "<$fname" or die "File Open Error.\n";
while( ) {
$counter++;
print "$counter : $_\n";
}
close FP;
counter = 0;
}
foreach ループでコマンドラインから引数で与えられたファイル名を取り出し、 whileループで、ファイルの内容を一行ずつ取り出し、すべての行を読み終えるまで処理しています。この while書き方は常套句なので、覚えておきましょう。$_ に、そのとき処理中の一行がそのまま入っています。
ファイルの書き込み
ファイルに書き込む際には、追記モード('>>ファイル名')と新規モード('>ファイル名')があることを知らねばなりません。 詳しくは関数リファレンスの open の項をご参照願いたいのですが、新規モードにすると、openの前にファイルに書き込まれていた内容は消去されてしまいます。
追記モードは既存のファイルに追加して書き込んでいく際に使われます。普通にすればファイルの末尾に書かれていきます。 以下、$dataというリストの内容をファイルに書き出していくサンプルです。ここでは新規モードでファイルをオープンしています。
open FP, ">/tmp/hoge.txt" or die
"Can't Open File.\n";
foreach $item (@data) {
print FP $item . "\n";
}
close FP;
6.サブルーチンの作成と使用法
サブルーチンとは、決まった処理をプログラムの別のところに記述しておき、使う際にパラメータを渡したりすることができます。また、サブルーチンからサブルーチン内で処理した結果の値を関数の呼び出し元に返すことができます。それをサブルーチンの戻り値(返り値)といいます。 サブルーチンの宣言は下記のようにします。
sub func_test {
  my ($arg1, $arg2) = @_;
  return $arg1 + $arg2;
}
2 行目の代入文は、配列 @_ の内容を、順に $arg1 と $arg2にそれぞれ代入する、という意味です。この 2 行目の時点では、@_には、引数のリストが入っています。 サブルーチンを呼び出すときは、下記のようにします。
$sum = func_test(1, 2);
上記の結果は、$sumに 1 + 2 の結果、3 が代入されます。

Perl公式ドキュメント一覧 Perlクイックリファレンス

目次
11.文字列の出力
22.変数と代入演算子
2.1配列
2.2ハッシュ
33.式と項
44.制御文の使い方
4.1条件文
4.2ループ文
55.ファイル入出力
5.1ファイルの読み込み
5.2ファイルの書き込み
66.サブルーチンの作成と

使用法
1.文字列の出力
文字列を出力するには、print関数を使います。
print "Hello world!\n";
>Hello world!
出力文は、カンマ( , )で区切ることもできます。
print "Hello world!", "\n";
> Hello world!
2.変数と代入演算子
計算した結果を変数に代入することもできます。
$x = 10 + 3 -1; # $x は「12」

  1. や - などの記号を『演算子』といい、特に上記のような計算に使う演算子を『算術演算子』と言います。 Perl の変数には、スカラ変数、配列変数、ハッシュ変数というデータ型があります。変数のデータ型は変数名の前に付く1文字で区別されます。スカラ変数の場合はダラー( $ )、配列変数はアットマーク( @ ) 、ハッシュはパーセント( % )が変数の先頭に付きます。


文字

意味
スカラ
$
$value
1つの変数で1つの値を記録します。
配列
@
@value
配列はスカラ変数のリストです。個々のスカラには、0から始まる数字のインデックスを使ってアクセスすることができます。
ハッシュ
%
%value
ハッシュは、複数のスカラをキーと値のペアによって格納する変数です。配列とは違って順番がなく、キーを指定して個々のスカラにアクセスします。
型グロブ

Perlの日本語訳サイト

このサイトは Perl の公式ドキュメント、モジュールドキュメントを日本語に翻訳したものを表示するサイトです。

サイト内の翻訳データは、Japanized Perl Resources Project(JPRP)で翻訳されたもの、有志が翻訳しているgithubリポジトリJPAの翻訳文書から取得しています。
最近の更新 /RSS
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2017-03-28perldiag(5.22.1) / argrath
2017-03-28perlfunc(5.22.1) / argrath
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2017-03-28perlrebackslash(5.22.1) / argrath
2017-03-28perlref(5.22.1) / argrath
2017-03-28perluniintro(5.22.1) / argrath
2017-03-28perlvar(5.22.1) / argrath
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2017-03-28perlsub(5.22.1) / argrath
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2017-03-28perlpod(5.22.1) / argrath
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2017-03-27perllexwarn(5.22.1) / argrath
2017-03-26perlutil(5.22.1) / argrath
2017-03-26perlunitut(5.22.1) / argrath
2017-03-24perlunifaq(5.22.1) / argrath
2017-03-24perlthrtut(5.22.1) / argrath
2017-03-23perlsec(5.22.1) / argrath
2017-03-23perlrun(5.22.1) / argrath
2017-03-23perlreref(5.22.1) / argrath
2017-03-21perlperf(5.22.1) / argrath
2017-03-21perlpacktut(5.22.1) / argrath
2017-03-21perlnewmod(5.22.1) / argrath
2017-03-20perlmod(5.22.1) / argrath
2017-03-20perlipc(5.22.1) / argrath
2017-03-20perlintro(5.22.1) / argrath
2017-03-20perlhist(5.22.1) / argrath
2017-03-20perlembed(5.22.1) / argrath
2017-03-20perldsc(5.22.1) / argrath
2017-03-20perlcheat(5.22.1) / argrath
2017-03-20perlbook(5.22.1) / argrath
2017-03-20perl(5.22.1) / argrath
2017-03-15perldiag(5.20.1) / argrath
2017-02-07perlrecharclass(5.14.1) / argrath
2017-02-07perlre(5.14.1) / argrath
2017-01-17perlfunc(5.8.4) / argrath
2017-01-17perlfunc(5.10.1) / argrath
2017-01-17perlfunc(5.10.0) / argrath
2017-01-17perlfunc(5.12.1) / argrath
2017-01-17perlfunc(5.18.1) / argrath
2017-01-17perlfunc(5.20.1) / argrath


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『Perl』について

目次
1 Perlの紹介
1. 1 Perlの特徴
1. 2 Perlの活用
2 Perlの入手方法とライセンス
2.0.1 各OSへのサポート状況
2.0.2 Perlの入手方法
3 Perlの情報源
3.1 Perlのマニュアル


Perlの紹介》
Perlは、ラリー・ウォール氏により開発され、その後、数千人の有志の協力によりバージョンアップを繰り返してきたプログラミング言語です。Perlの応用範囲は広く、システムユーティリティやソフトウェアツールの作成、データベースへのアクセス、グラフィックやネットワーク処理、そしてウェブプログラミングなどに適しています。最初の章ですので、Perlの概要から、よく利用されるPerlに関連したサイトなどを紹介していきます。

Perlの特徴》
Perlはテキストを整形したり出力したりするのに最適化された言語です。ですから、テキスト操作にかけてはその右に出るものはない、というぐらいの機能が揃っています。元は論文製作に励んでいる学生や、大量のログを処理しなければ行けないシステム管理者に人気があり、そこから徐々にその裾野を広げていきました。 Perlの特徴をひとことで言い表すならば「実践的な言語」に尽きます。面倒な制限やコーディング作法の押し付けがないので、自由に書くことができます。反対に、ちょっと油断すると本人でさえ何を書いたのか判別できないコードができてしまうという面もあるので、その点では注意が必要です。

関連サイトのリンク集

【用語】
Perl
正式には「実用的なデータ取得レポート作成言語(Practical Extraction and Report Language)」が語源といわれているけど、「病的折衷主義のがらくた出力装置(Pathologically Eclectic Rubbish Lister)」という説もある。詳しい説明は本文にて。

Perlの活用》
Perl はテキスト関係の処理が得意ということもあり、ほんの数行でデータの保存や、キーワードの検索を実現させることができます。また、多くの人々に利用されていることから、インターネット上で公開されているフリーソフトや、困ったときに助けになるメーリングリスト、その他専用の電子掲示板(BBS)なども数多く用意されています。それら多くの利点に加え、UNIX系のオペレーティングシステムには最初からインストールされています。もちろん、ウインドウズやマッキントッシュにもインストールすることができるので、後からプラットフォームを変更してもPerlプログラムを動かすことができます。

フリーソフト
無料で利用できるソフトウェア。ボランティア的に個人や小さなグループが作っているものが多く、その多くはインターネットを使って公開されている。

メーリングリスト
電子メールを使って、特定のテーマについての情報を特定のユーザの間で交換するシステム。

電子掲示板(BBS)
コンピュータ上で、掲示板のように意見や情報の交換を行うためのサービス。

オペレーティングシステム
キーボード入力や画面出力といった入出力機能やディスクやメモリの管理など、多くのアプリケーションソフトから共通して利用される基本的な機能を提供し、コンピュータシステム全体を管理するソフトウェア。企業や家庭の一般ユーザが利用するOSとして最もポピュラーなのはマイクロソフトのウインドウズ。そのほか、アップルのマッキントッシュが有名。UNIX系OSLinuxFreeBSDなどは企業や学術機関でよく使われている。

Perlの語源』
 Perlは、正式にはThePracticalExtractionReportLanguage(実用的情報抽出レポート言語)の略ということになっていますが、Perlの作者であるラリー・ウォール氏によれば、PathologicallyExlecticRebbishLister(異常に折衷主義的ながらくた生成プログラム)ということらしいです。

Perlの入手方法とライセンス》
各OSへのサポート状況
PerlUNIXシステム上で開発されていたこともあり、UNIX文化と密接に関わっていますが、Linux系やウインドウズ・シリーズ、マッキントッシュなどの環境でも動作する、非常に移植性の高い言語です。
特にUNIX系、LinuxFreeBSDなどのOSには標準でPerlがインストールされています。ウインドウズやマッキントッシュの場合は、フリーで配布されているPerl開発キットがあります。

Perlの入手方法》
入手方法としては、インターネットからのダウンロードが一般的です。Perlは選択可能な2つのライセンスに従って配布されていて、『GNU プロジェクト』から配布されているPerlは無料で、全ソースコードが入手可能です。
もうひとつの選択肢は、『Artistic License』による配布で、こちらのライセンス条件はGNUよりもさらにオープンなものになっています。 実際のダウンロード場所や、インストール方法などはPerlのインストール(UNIX版)、ActivePerlインストール(WINDOWS版)を参照してください。

【用語】
GNU
FSF(Free Software Foundation) が進めている、フリーな総合ソフトウェアシステムの名称。
特に活動やプロダクトのことを指す場合は、それぞれGNUプロジェクトと呼ばれています。

GPL
(GNU General Public License)
FSF(Free Software Foundation)により提唱されたフリーソフトウエア用のライセンスの一つ。ソフトウエアの自由な改変や再配布を許可しています。

Artistic License
GPL と同じように OSI に認定されたライセンス。GPLよりも配布の義務などが緩和されています。

Perlの情報源〉
Perl」という単語をGoogleで検索すると、ものすごい量のページがマッチします。そこから必要としている情報を探すのは至難の業になりますから、通常は「Perl 正規表現」のように、いくつかのキーワードを組み合わせる必要があります。それだけPerlに関する情報は膨大なものですが、実際はそれ以上の知識が必要となることがあります。たとえば、UNIXシステムに直結するようなプログラムを書く際は、UNIXに関する知識、データベースを活用するプログラムを書く際は、MySQLOracleなどのデータベース管理システムやSQLの知識が必要になります。 必要な情報を最小限の能力で引き出すには、ブックマークを活用できるようにしたほうがよいでしょう。最初に用意するブックマークフォルダは『プログラム関連』、その中に「Perl」、「CGI」、「データベース」、「UNIX」などのブックマークフォルダが必要になってくるかもしれません。もちろん、どのようにブックマークフォルダを用意するかは個人の好みによりますが、なるべく階層が深くならないように注意し、あまり細かくジャンルわけしないほうがよいでしょう。Perlの情報だけでものすごい数になると思いますから。

Perlのマニュアル〉
PerlのマニュアルはPerl開発キットに含まれているので、Perlがインストールされている環境でしたら、manコマンドを使って利用することができます。トップレベルのマニュアルページはperlという名前なので、シェル上で下記のように入力することによって表示させることができます。

Perlマニュアルページの呼び出し方〉
トップレベルのページを表示させる
> man perl

正規表現のページを表示させる
> man perlre manコマンドが使えないような場合でも、 perldocコマンドを使って表示させることができるかもしれません。 標準で付属しているPerlのマニュアルは英語です。日本語のマニュアルはいくつかのウェブサイトに掲載されているので、参考にしてください。