朝鮮学校の無償化問題・日本共産党の見解

2010年10月3日(日)「しんぶん赤旗
日本共産党 知りたい聞きたい
朝鮮学校の無償化除外は?

〈問い〉
朝鮮学校の無償化除外について日本共産党はどう考えていますか? (堺市の女性)

〈答え〉
この春から、国は公立高校授業料を不徴収とし、私立高校生に公立授業料と同額の高校就学支援金を支給するようになりました(「高校無償化法」)。この措置は多くの外国人学校にも適用されていますが、朝鮮学校は適用除外となっています。日本共産党は、この適用除外に反対であり、他の外国人学校と同じように扱うよう主張しています。
 国際人権規約子どもの権利条約に基づき、子どもの教育についてはその国籍に関係なく、その子どもが実際に住んでいる国の政府が責任をもつことになっています。国の「高校無償化法」でも、日本の高校教育に準じた外国人学校に「無償化」措置をすることにしています。
 朝鮮学校での教育は、教科書はハングルで書かれていますが、日本の学習指導要領にそったものが多く、日本の高校教育に準じたものといえます。このことは、日本の大半の大学が朝鮮学校卒業者を高校卒業と同程度の学力があるとして受験を認めていることからも裏付けられます。
 こうした朝鮮学校を「高校無償化」の適用除外とすることは道理がありません。日本弁護士連合会が批判の会長声明をだす、国連の人種差別撤廃委員会が日本政府に対して事態を懸念する「最終所見」をだすなど国内外に批判が広がっています。
 一部に朝鮮史の授業等が偏向しているから問題だという意見がありますが、だから高校に準じると認めないというのは道理がありません。子どもの権利条約は教育の目的として「児童の父母、児童の文化的同一性、言語及び価値観、児童の居住国及び出身国の国民的価値観並びに自己の文明と異なる文化に対する尊重を育成すること」を明記しています。
 さらに、拉致問題を理由に適用除外を支持する意見もあります。しかし、北朝鮮政府が拉致に関与しているからといって、それと在日朝鮮人などの子どもたちの学ぶ権利とはかかわりがありません。
 朝鮮学校が今日のような形で存在している背景には、戦前の日本による朝鮮侵略と植民地支配の歴史があります。それだけに、日本政府には国際条約や人権の精神にそった誠実な対応が求められています。
(2010・10・3)