大阪朝鮮学園補助金裁判(12)

ウ さらに、原告は、A府知事が4要件の前身ともいうべき「Kと一線を画すこと」などを内容とする4つの項目を平成22年3月に示していることを挙げ、A府要綱に付加された4要件は原告を狙い撃ちにしたものであって、教育への不当な政治的介入であり、突然されたA府要綱の改正はその内容が公にされたとはいえず行政手続法5条、A府行政手続条例に違反すると主張する。
しかし、A府知事が平成22年3月に「Kと一線を画すこと」など4つの項目を原告に告げたのは、A府知事が正に原告の運営に係る学校を訪問して原告関係者と意見交換をしている場においてであって(上記認定事実(2)イ)、本件A府補助金に係る交付対象要件の一般論を原告の場合に置き換えて説明したものにすぎないということができる。そして、上記イのとおり、4要件を設けたことには相応の理由があり、裁量の範囲内ということができるし、4要件を具体化したA府要綱の内容も一般性を具備した体裁をとっているのであって、殊更に原告に対する本件A府補助金の交付を阻止するため、原告を狙い撃ちにしたものとまではいえない。また、4要件は本件A府補助金の交付対象要件であって、原告における教育内容を直接規律するものではなく、教育に不当に介入するものともいえない。もとより、本件A府補助金の交付を受けない外国人学校に対して、1条校に求められるような政治的中立性を求めるものではない。
さらに、本件A府補助金の交付関係は行政処分ではなく、A府要綱は被告A府内部の事務手続を定めるものであるから、行政手続法及びA府行政手続条例の適用の前提を欠いている上、被告A府は、上記認定事実(3)コ、サのとおり、平成24年3月7日付けA府要綱の改正に先立ち、原告に改正内容を伝えるなどしていたことに照らせば、原告との関係においてA府要綱を公にしていなかったともいえない。
(3) 小括
以上によれば、原告がA府要綱2条に当たるとは認められず、もとより平成24年3月7日付け改正によりA府要綱に付加された4要件も違法、無効とはいえないから、原告がA府要綱交付対象要件を充たすと認めることはできない。
したがって、その余の点について判断するまでもなく、本件A府承諾請求及び本件A府確認請求は、いずれも理由がない。