大阪朝鮮学園補助金裁判(3)

(4)争点4(A府要綱交付対象要件の充足の有無)について
(原告の主張)
ア(ア)原告が運営する外国人学校のうち、D・E級学校については、教室及び職員室からも肖像画を撤去するなどしていた上、Yは、原告の生徒らの祖国が主催する行事であって「特定の政治団体」が主催するものではなく、学校行事でもないから、被告A府がなし崩し的に設けた4要件についても充足していたことが明らかである。
したがって、本件A府不交付は違法であるし、原告に対しては、本件23年度A府補助金が交付されなければならない。
(イ)被告A府は、本件新聞報道をきっかけとする資料の追加提出要請に原告が応じなかったなどとして本件A府不交付を正当化しようとするが、原告が被告A府の担当者から電話を受けた際にも、「資料提供がない場合には不交付となる可能性がある」などといった注意喚起はなかったし、そもそもYは、祖国が主催する行事であって、「特定の政治団体」によるものでもなく、学校行事でもないから、その資料の提出の必要性は認め難いものであった。そうすると、本件A府不交付は、不当な政治的介入としか考えられず、到底許されるものではない。
仮に被告A府による本件A府補助金を交付するか否かについて、被告A府(A府知事)にある程度の裁量を認めるとしても、本件A府不交付に当たり、子どもの学習権という本来最も重視すべき要素、価値を不当に軽視し、本来考慮に入れるべきでない政治理由を極めて過大に評価し、このことにより判断が左右されたことは明らかであるから、被告A府(A府知事)による本件A府不交付は裁量判断の方法ないしその過程に誤りがあるものとして違法である。
イ 仮にA府要綱2条8号の要件を充たすことが確認できない状況にあったとしても、次のとおり、原告が本件A府補助金の交付を受けることについて権利・利益を有していることに照らせば、平成24年3月7日付け改正によりA府要綱2条に付加された4要件は違法(違憲)・無効であり、原告がその余のA府要綱2条交付対象要件を充たしていることは明らかである。
したがって、原告はA府要綱2条交付対象要件を充たしている。