大阪朝鮮学園補助金裁判

[産経WEST]2017/01/16より引用開始
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補助金支給「要件満たさぬ」大阪朝鮮学園の請求を全面棄却 大阪地裁判決
 朝鮮学校への補助金支給を打ち切られ、学ぶ権利を侵害されたとして、大阪府下で初中高級学校など10校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」(大阪市東成区)が、大阪府大阪市に不支給決定の取り消しなどを求めた訴訟の判決が26日、大阪地裁であった。山田明裁判長は「府市の定めた交付要件を満たしておらず、不支給はやむを得ない」として訴えを全面的に退けた。学園側は控訴する方針。
 判決理由で山田裁判長は、補助金に関する要件や規則は行政内部の事務手続きを定めたものに過ぎず、申請者の法的権利を認める趣旨は含まないと指摘。事務手続きを超えた行政処分には当たらないとして「取り消しを求める訴訟の対象にならない」と述べた。
 外国人学校のうち学園だけが不支給とされたことから、学園側は「公権力による差別だ」と主張したが、判決は「交付要件の設定には相応の理由があり、行政の裁量の範囲内。学園を狙い撃ちにしたとは言えない」と結論づけた。

学園理事長「怒りに体震えた」
 判決によると、学園への補助は府が昭和49年度、市が62年度からそれぞれ実施していたが、府は橋下徹知事時代の平成22年、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と一線を画すことや、北朝鮮指導者の肖像画を撤去することなど、新たに4項目の交付要件を順守するよう要請。23年度の申請については要件を満たしていないとして府が不支給を決め、市もこれに同調した。
 判決後に記者会見を開いた学園の玄英昭理事長は「怒りに体が震えた。勝利する日まで闘い続ける」と話した。
 一方、大阪市の吉村洋文市長は「極めて妥当な判決だ。補助金の支給は考えておらず、今後もその方針は変わらない」とコメントした。

◇次のblogで「朝鮮学校問題を理解するための資料の整理」されている。
[いち在日朝鮮人kinchanのかなり不定期更新日記]http://d.hatena.ne.jp/dattarakinchan/mobile?guid=on


(藤永 壮さんのfbより)
長文です。関心のある方はお時間のある時にお読み下さい。

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悪夢のような判決の日から一夜明けた。朝刊の「補助金不支給 朝鮮学校側が敗訴」の見出しを見て、やはりそうだったんだと、改めて茫然とする。
私の手許にまだ判決文は届いていないのだが、弁護団や学校関係者の話を総合すると、一言で最低最悪の不当判決であったという。
実はこの補助金裁判での朝鮮学園側の請求内容は、法律の専門家でも結構難しいそうで、私もきちんと理解できているとは、とうてい言えない。提訴の時点での請求内容は、不交付決定取り消しと交付の義務付けというストレートに補助金の支給を求めるものだった。
しかし勝訴の難しい行政訴訟では、これだけで行政の不当な措置を認めさせることは困難である。そこで原告弁護団は、万一これらが認められない場合に備えて、朝鮮学園が補助金被交付者としての地位にあると確認すること、あるいは大阪府・市が改めて交付申請を承諾すること、などを追加で請求した。(このあたりがとくに分かりづらいところです。)





そしてさらに、慰謝料としての国家賠償も請求に加え、三段構え、四段構えで請求の内容を積み重ねていった。原告弁護団は知恵を絞って、あらゆる法解釈を動員し、最低でも、これらのどれかを裁判所に認定させることによって、大阪府大阪市による差別的な措置の不当さを明らかにしようとしたのである。
だが結局、大阪地裁はこれらすべての請求を棄却した。その理由たるや、子どもの学ぶ権利や、民族教育の意義などには一切触れず、ひたすら大阪府・市側の主張をなぞるものだったという。それどころか大阪府・市側の論理構成の弱い論点は、裁判所がそれを補いさえする、まさに「行政救済裁判」(丹羽弁護団長)であったのだ。
要するに、裁判官は朝鮮学園敗訴の結論を先に決め、それに合わせて理屈をこね回しただけの判決と断じざるを得ない。
授業を休講にできず、傍聴に行けなかった私は、気もそぞろに授業を終えた後、FBで不当判決の結果を知った。長期にわたる弁論で、あれだけ朝鮮学校の意義を訴えてきたのだ。せめて請求の一つぐらいは認定されるだろうと期待していたのだが、見事に裏切られた。ショックや衝撃などという陳腐な言葉で言い表せない動揺を抑えることができなかった。
みんな、どんなに落ち込んでいることだろう。報告集会へ向かう道のりはつらい思いだった。集会では支援団体を代表してアピールをする大役を仰せつかっている。仲間たちにどんな言葉をかければよいのか、なかなか思いつかない。
しかしそれは杞憂だった。おそらく集会に駆けつけた誰もが当初は大きなショックを受けたことだろうが、集会が始まった時点では、それは不当判決に対する激しい怒りに変わっていた。「落ち込んでる暇はない」「泣いている場合ではない」。そんな怒りのるつぼのような雰囲気の集会だった。そしてみんな前向きだった。






だから私は率直に自分の気持ちを語ることができた。怒りを力に闘い抜こう。敗れたのは朝鮮学校ではない、日本社会の良識であり、民主主義であり、人権意識であり、植民地主義を克服しようとする意識であると。
集会終了後の懇親会。やはりオモニは強し。最も大きな衝撃を受けた方々であったろうに、いつものように明るく、大阪らしくユーモアも交えながら、決意を表明して下さった。こちらが励ます立場なのに、100倍もの勇気をいただいた。有り難うございます。
控訴審、「無償化」裁判と、まだまだ闘いは続く。生徒、保護者、教職員をはじめとする朝鮮学校関係者のみなさん、弁護団のみなさん、そして志を同じくするすべての支援者のみなさん、一丸となって必ず最後には勝利しましょう!
最後にビデオメッセージを送って下さった韓国のみなさん、本当に有り難うございました。集会参加者に多くの力を与えてくれました。今後ともご支援よろしくお願いいたします。